荒川 和佳子

ここでしか買えない“コーヒー味”

干し餅は、藤里で昔から親しまれてきた保存食。今ではコーヒーやお茶、時にはお酒のおともとして町民に愛されている。サクサクとした食感と素材そのままの優しい味に、どこか懐かしさを覚える人も多いだろう。コハゼ、シソ、ゴマ、などの見た目も鮮やかな商品が店頭に並ぶ姿は、買い物客に春の訪れを感じさせてくれる。

その中に新たに加わったのが、“コーヒー味”だ。考案したのは、20年以上干し餅を作り続けている荒川和佳子さん。お客さんに喜んでもらうため、常に商品開発を行っているそう。コーヒー味に苦味は一切なく、豆の風味が微かな甘みとなって舌を楽しませてくれる。薄味と豆の香りのバランスがちょうど良く、お酒との相性もばっちりだ。

自然の力を生かして作る干し餅

干し餅は「餅に水分を多く含ませて凍らせ、冬の寒風で乾燥」という自然の力を生かした昔ながらの工程で作られる。しかし、そのやり方は一筋縄ではいかない。まず餅をついて、固まる前に急いでお湯入れて、混ぜて、練って、こねて。これを繰り返して、通常の倍の水分量を餅に含ませる。ずっしりと水分を吸収した餅を扱うのには相当な力が必要で、切るだけでも一苦労。さらに高品質の商品を作るためには、乾かすときの風量が均等になることも大切。荒川さんは、この一連の流れを全て手作業で行っている。「自分の腕があるから、自分の力で」。店頭に並ぶ華やかな干し餅の背景には、荒川さんの見えない努力と汗があった。

買いに来てくれるから、頑張れる

荒川さんが作る干し餅は、ファンが多いことで有名だ。毎年時期になれば、車で2時間かけて来るお客さんもいるんだとか。人気商品のため、商品の売れ行きも早く「いつまであるのか?」との問い合わせも少なくない。「買いに来てくれるのが、嬉しい。買いに来てくれるから、頑張れる」と荒川さんは顔をほころばせる。

藤里の冬は長い。干し餅が出る1月~3月は、ちょうど最後の寒さを乗り切る時期。「今日は何味を食べようかな?」と考えながら、春の訪れを待ってみてはいかがだろうか。

荒川 和佳子のレシピ

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